初野晴 「ハルチカ番外編 ひとり吹奏楽部」(角川文庫)
番外編ということで、いつものハルタ、チカが事件や謎に取り組む推理小説の味わいは影を潜め、迷探偵の登場は殆どなく、青春小説の趣が強い。
東京国際音楽コンクールの指揮者部門で2位にはいり、将来が嘱望されていた草壁信二郎がどういう経路を辿ったのか不明なのだが、26歳に突然、清水南高校の音楽教師となって登場する。
彼の言葉が印象的だ。
「私たちは悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ。」
この説明として、彼の言葉には確かに説得力がある。
「たとえば呼吸だ。呼吸をゆっくりしていくと、心は落ち着いてくる。身体の変化が最初にあって、心はその結果として生まれるだろう。」
「呼吸以外も、表情や、発声や、姿勢や、歩き方といった日常の行動が先で、心というものは後からついてくる。」
たしかに心が先ということは、概念が先行するということ。それは何もないところに、生まれるということ。無から生ずるものはない。
歌を聴く。演奏を聴く。時に名演奏はジーンと身体が反応する。その後に、過去の辛かったことや、幸せだったこと、今の辛さ、楽しさが浮かんできて、涙をながしたり、笑ったりする。
素晴らしい音楽というのは、その音や演奏で、人々に悲しさや楽しさを想起させることができるものなのだ。
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| 古本読書日記 | 06:28 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑