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瀬尾まいこ   「春、戻る」(集英社文庫)

 最近は、一瞬に人を判断して、特にダメ人間だと判断した人物は、排除してしまうという傾向がありとあらゆる場面で強くなった。そして、ダメ人間としてレッテルを貼られると、なかなかそこから脱出することができない。

 この作品は教師を目指し人生をおくってきた主人公の女性が、念願がかない、岡山の田舎の小学校に赴任、小学2年生を受け持つことから教師生活をスタートさせる。主人公は、生徒たちと同じ目線で物事をとらえようとする。だから、苗字で〇〇先生と呼ばせるより、名前のさくらで呼んでもらうようにした。しかし、ここが難しいところだが、生徒たちが、自分たちと同等の人間と主人公を判断してしまい、主人公が何をいってもまともに生徒がきかなくなり、学級が混乱状態に陥る。最後はベテラン教師を彼女にはつけられてしまう。

 当然先生たちの中では、ダメ先生の烙印がおされる。排斥された主人公は、追いつめられ憧れていた先生の仕事をやめる。

 しかし、先生になって一年もたっていない経験で、周囲より判断されてしまうのは切ない。新人なのだから、失敗もある。主人公の目線の置き方だって、彼女の意欲によりなされたものであり、それが上手くいかなかったとして、意欲をしぼませるような学校であっては悲しい。

 この作品では、唯一校長が、彼女の頑張りを理解していたのだが、辞職をおしとどめることはできなかった。

 そして校長は、憧れていた夢を断念した主人公が、幸せな人生を送れるよう、息子に依頼して彼女の人生をみさせ、障害がおきれば手助けしようとする。

 主人公は、見合いをして和菓子屋の若主人と結婚することになる。最後に突然現れる若い男が主人公の人生をみてきた、校長先生の息子であることがわかる。

 人は過去のいやな経験は、できるだけ封印して思いださないようにする。しかし、最後に主人公は、優しかった校長先生の言葉やしぐさを思い出す。そして、読者もよかったと暖かい気持ちになる。元先生だった瀬尾さんの優しい想いがこもった小説だった。

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| 古本読書日記 | 05:59 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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