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初野晴     「退出ゲーム」(角川文庫)

 清水南高校1年生のマノンは、父親が元有名なサックス奏者。それでマノンも中学校まで吹奏楽部でサックスを吹く。その演奏はプロはだし。そのマノンが高校にはいった途端サックスを捨てる。そして陽気だったマノンはずっとふさぎ込んで、友達も誰もいなくなる。

 心配した演劇部長の名越が、マノンを幽霊部員でもいいからと演劇部員に無理やりしてしまう。

 しかし、吹奏楽部ではマノンに入ってほしいし、名越も演劇ではなく、吹奏楽部でサックスを演奏してほしいと願っている。

 実は、マノンは中国蘇州で生まれた。彼が生まれたころ、蘇州には多くの白人がやってきていた。実は中国では当時、子供は一人しか生んではいけないという法律があった。2人目以上の子どもはその存在が認められなかった。それで、育て上げられない子供を白人たちが養子にして自分の国に連れてかえることが一般に行われていた。マノンは長男だったが、障害がすこしあり、中国の両親はマノンの弟を正式な子として戸籍にいれ、結果マノンは白人の両親に引き取られた。

 高校に入るとき、突然両親から弟の手紙を見せられた。それは9089という番号で鍵をあけるジュラルミンケースにはいっていた。そのケースには、マノンが中国にいたとき、着ていた服やおもちゃがはいっていた。

 手紙には、弟が兄マノンに会いたいという願いと、今サックスを懸命に習い演奏していると書いてあった。その後も何回か弟から同じ内容の手紙がマノンにきていた。

 マノンは弟が幸せで本当の両親と暮らしていて、しかもサックスをやっていることにショックを受け、サックスをやめ、ふさぎこみだしたのだ。

 このマノンを演劇部から吹奏楽部に異動させるために、演劇部と吹奏学部が舞台で対決し、見事マノンが舞台から退出させることができたら、マノンが吹奏楽部に異動できるというゲームをやることとなる。

 この時の吹奏楽部のハルタが考えた劇が実に見事、鮮やかだ。舞台の外は蘇州。退出したらそこは蘇州。そして、マノンにジュラルミンケースとそれを開けるための鍵が渡される。

 上手い筋立てである。


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| 古本読書日記 | 06:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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