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初野晴     「空想オルガン」(角川文庫)

 今の電話は詐欺だとわかりやすいのに、「オレオレ詐欺」の被害にあう人たちが、後を絶たない。老人になり、頭脳の働きが弱くなり、判断ができず、引っかかってしまうのだろうと想像するのが一般的な感想だろう。

 親子というのは、一旦子供が親元を離れると、多くは一挙に親子関係が希薄となる。実家に帰るのも年に数回から、だんだん減って、子供が家族でも持つと、年一回、表敬訪問のような感じになり実家に帰るのが一般的。

 中には、親子で摩擦があり、それで家を飛び出す場合も結構ある。こうなると、帰ることは無くなり、あっても数年に一回などとなってしまう。摩擦によって離れ離れになると、物理的出会いは無くなるが、結構親が子供を、子供が親を思うことは強くなる。どうして、あんな言葉を吐いてしまったのか、どうしてもっと親を或いは子を理解しようとできなかったのかと辛い想いが募る。

 こんな状態のときに、息子と名乗る人から電話がくると、親は電話の息子に縋りつきたくなる。どうしていたのか。元気でやっているのか。知りたい。そして何としても会いたいと思う。それが詐欺かもしれないと思っても、息子につながるのなら、お金などあげてもかまわないという気持ちになる。

 親の想いというのは想像以上に強い。何しろこの物語では、亡くなった息子から電話があっても、それを息子だと母親は信じて400万円のお金を用意するのだから。

 喧嘩で離れ離れになってしまった親子ほど、心のつながりは強い。それが「オレオレ詐欺」が消えない原因なのである。

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| 古本読書日記 | 07:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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