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小林秀雄    「学生との対話」(新潮文庫)

 小林秀雄が活躍していた時代は、唯物史観、唯物論が全盛時代だった。人間の精神の動きも物質を科学的に分析して、解析するというのが流行していた。小林はこの方法に反発した。

 科学的アプローチは、最近の300年間に生まれた考え方であり、それで、精神世界を明確にできることはないと言い切り、唯物論に対して強烈に批判したし、精神世界は、綿々と人間世界で受け継がれてゆくものと規定した。

 小林は、歴史家というのは、何年に何が起きたという現象だけを語るのはいけないと断じる。我々は、多くの世代を通じて、古代の人たちの物の見方、考え方を引き継いでいる。

 だから、歴史家は、その時代に入り込んで、その時代の社会観、人生観に共感して語ることができないといけない。

 小林は本居宣長の「古事記伝」を大きく評価する。今の時代からみれば、神話と考えられることの羅列が殆どというのが「古事記」である。本居を、自分の住んでいる今から、その時代に飛んで、そこで基盤になっている、物の見方考え方になりきって、「古事記」を読み込むことができている大歴史家だと評価する。

 精神世界というのは、人により彩られる世界が異なる。そんなことはあり得ないと否定してみても、あり得ないと思われていることを経験した事実は経験したひとにとっては残る。

 あり得ないと思わず、それはあるという事実を受け入れ、精神世界を文学などを通じて探求し、極めようとする態度が肝要だとこの対話集では説いているように感じた。

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| 古本読書日記 | 06:13 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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