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柚木麻子     「けむたい後輩」(幻冬舎文庫)

横浜日本大通り沿いにある書店「CANAL」は映画や舞台などの文献や資料を豊富に取り揃えていることで業界関係者には有名な店。

 そこの雇われ店長の黒木は、大学をでて、映画の世界で生きていくと決意し、映画学校に通うが、自分の求めていた道とは違うと思い、写真学校に移る。しかし、それも飽きてまた映画の世界に戻ろうとしている。家が裕福のため、ふらふらするお金は実家からもらっている。書店に脚本コンクール賞のポスターをはり、今年こそ作品を応募して賞金500万円をゲットして、華々しく映画界にデビューすると息巻いている。

 そんな書店だから、勤めているアルバイトも映画の世界で生きて行こうと夢見る人たちが集まっている。その黒木にべったりくっついているのが、名門お嬢様学校のフェリシモ女学院を卒業して、やはりこの書店にアルバイトとなった主人公栞子。

 彼らは、閉店後いつも企画会議と称して、つまみ290円均一の居酒屋で毎晩気炎をあげている。だらだらと毎晩、何も起こらず、自分たちは才能があると信じるナルシストたちの愚痴や恨みに付き合っていた栞子がついにたまりかねて声をあげる。

 「あんたたちは映画なんて絶対撮らないわよ。ううん、撮れないの。形にする根気もなければ、伝えたいこともないんでしょ。勝負にでないのは、何が何でも負けたくないからでしょ?激安酒場で仲良しトークをして、年とっていけば?一生『学生』やってろよ。この負け犬!」
 こういう、自分の才能がわからない世の中が悪いとくだを毎日のようにあげている集団は結構あるのだろう。

 それで、啖呵を切った栞子はどうなるのだろう。
学生時代、憧れの人として栞子を尊敬し、ベッタリとくっついていた真実子。その真実子は、売れっ子脚本家、ドラマ制作者として八面六臂の活躍をしている。
 その真実子に栞子が会う。常に家来のようにしたがっていた真実子が言う。
「年上のくせに葛藤レベルが低くないですか。あんなに映画をみたり、本を読んでいたくせに・・・・何一つ血肉になってないんですね。」

 そして、チェーンスモーカーである栞子に、決して言わなかった言葉を真実子はきっぱりと言う。

 「先輩、煙草消してもらえませんか。」と。

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| 古本読書日記 | 06:28 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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