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柴崎友香     「週末カミング」(角川文庫)

 我々普通人の人生になかなか物語のようなことはない。この短編集は、週末を色んな角度で切り取って描く。週末だといっても普通に働いている人も多いが、やはり通常のルーティン生活から離れて、少し変化のある週末の風景がある。しかし、それでも、大きな変化があるのではなく、少し小さな浮き沈みがあり、平凡な生活の連なりがある。

 沖縄に行って、居酒屋で隣り合わせになった女の子と気があって、連絡先をかわしたのだが、その紙を無くしてしまう。それが一年後に東京で偶然出会う。これは絶対運命だと思ってプロポーズする。その女の子。学校の先生をしているのだが、おじいさんが畑をやっていて、子供たちに野菜作りを教えてやることが今の生きがいになっている。だから、今は結婚なんて考えられない。

 そんなことを言われプロポーズを断られたのに、女の子はその直後に別の男と結婚をしている。

 どうみたって体よく振られたのだし、さっと切り替えればいいのだが、それができない。毎週末ずっとその子のことばかり考えてばかり。無駄な週末がだらだら過ぎてゆく。


 引っ越し場所を探そうと友達と、街を歩く。

 色んな住宅が並ぶ。その都度、いちいち、寒そう、古そう、高そう、細長い、渋い、金持ちそう、悪いことやって儲けてそう、とけちをつけて歩く。全く余計なお世話だ。

 そのうち時々誰も住んでいない空き家にちらほらであう。その家の不幸そうなことを思い浮かべしゃべりあう。

 そんな数々の家をみながら、この街並みもいつか取り壊され、更地になってまた違う家並みができる。そこでも、ドラマチックな人生は少なく、ああでもない、こうでもないとちまちま庶民の暮らしが再現される。

 しかし、そのちまちまも、それぞれ経験している当人にとっては、大きく波打っているように思える。

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| 古本読書日記 | 08:40 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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