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宮下奈都   「田舎の紳士服店のモデルの妻」(文春文庫)

 一流会社のお偉いさんから紹介され、男前だし包容力もあり将来も嘱望されている会社員に、もうこれしかないと思って懐に飛び込み結婚し、幸せな人生を歩めるはずだった主人公梨々子。まいっちゃうよなあ。突然夫から「会社を辞める」と宣言されただけでなく、夫の故郷である北陸の目立たない県庁所在地に帰ると言われる。しかも、夫はその時うつ病を患っていた。

 そんなことにぶつかった30歳から40歳までの梨々子の10年を2年毎に区切り描いている。

 うつ病とはいえ、夫のわがままだけで、梨々子だけでなく、こどもたちも住み慣れた東京を離れ、未経験の田舎暮らしを強制させられる。

 梨々子や子供たちが変調を引き起こすことは当然。田舎暮らしはしているがいつか東京に帰れると思いながら生活する。なかなか田舎に身を沈める覚悟ができない。

 子供に問題があるといって何回か学校にも呼び出される。長男の潤は運動会の徒競走で、スタートラインに並ぶのだが、走り出すことをやめる。夫はそれをみていたのに、知らんぷりして何も言わない。周りに言い訳したり、先生に謝ったり、潤に対峙するのは母である梨々子。

 うつ病の人というのはどこか甘えがある。自分のことだけを中心に考える。病気を理由に何を言っても無反応かそれはあんたが考えろという姿勢。

 子供の教育だけでも大変なのに、大人のわがままうつ病患者まで抱える。しかも、東京を離れたため相談できる人もいない。
 絶望的状況。ここからどうなる?

 普通なら、やりきれなくなり、どこかでプッツンして、今の生活から脱却しようと行動をおこしそうなものだが、心象的にはそんなつぶやきがあるのだが、大変だと思われる出来事も深堀されず、通りすぎてゆく。心象と出来事に乖離があり、うまく物語に乗れない。

 特に、かってのアイドルのマヒナとのデートの場面は唐突で違和感があり、何のために入れたのかがさっぱりわからなかった。

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| 古本読書日記 | 09:13 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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