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有栖川有栖     「怪しい店」(角川文庫)

 犯罪学者火村准教授と推理作家有栖川が登場する探偵シリーズ中短編集。

 世の中には、名前だけでは何を商売にしているかわからない怪しげな店というのがある。
「男性が化粧をして女装を楽しむ店」「女性が膝枕で耳掃除をしてくれる店」など。

 この作品に登場する「みみや」という店は、磯原紀久子なる中年女性が、悩みを抱えている客からひたすらその悩みを聞いてあげるという店。紀久子は聞くだけで、何か相談をうけたり、解決策を提案することは一切しない。それでも、聞いてくれるだけでも、スッキリするというお客がいて商売としてなんとかやれていた。

 この紀久子が殺害される。紀久子の夫磯原兼介は、定職をもたずふらふらして暮らしている。しかも、愛人もいる。

 更に紀久子の客を調査してゆくと、80万円、40万円と大きな金額を紀久子の口座に振り込んでいる客がいる。紀久子が、聞いたことを逆手にとって顧客に秘密をばらすと脅迫していたのだ。それを知った兼介は、その上前をはねようとして、レコーダーをセットしていた疑いがでてくる。

 当然、脅迫された者が恨みで紀久子を殺害したのではということで調べる。アリバイは無いが、お金の振り込み後は、脅迫はなくなっていて、そこに更に危険をおかしてまで紀久子を殺害するとは考えられない。

 一方、兼介はレコーダーは紀久子がセットしたもので、自分はあずかり知らぬと言えば、言い逃れができる。

 有栖川は、読者を脅迫内容がレコーダーに記録されそこに殺意が生ずると引っ張るだけ引っ張り、最後にどんでん返しを食らわせる。

 レコーダーには、相談者の内容だけでなく、他の内容が記録されていた。しかも、それは殺害が行われた場面。その殺害者をかばうためにレコーダーを廃棄しようとしたのだ兼介は。

 犯人は兼介の愛人だった。

 まいった。物語の9割以上、犯人は兼介か、相談者の誰かであるように描かれてのどんでんがえし。鮮やかと言うべきだろう。

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| 古本読書日記 | 10:42 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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