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最相葉月     「なんといふ空」(中公文庫)

 「絶対音感」売れてまだそれほど時間がたっていないころ書いたエッセイ集。

 「絶対音感」は最相さん34歳のときに出版した本。それまでは、世界の底をはうような、あてのない暮らしが続いた。

 最相さんの家も苦しかったのか、父が新聞配達をして家計を支え、中学校で1年間登校拒否症になった弟も、何とか中学を卒業して、やはり新聞配達で家計を支えたようだ。最相さんも、私立高校に行っていたが、そこを退学して公立校にはいりなおそうとしたが失敗。高校を3年では卒業できず、人より多い高校時代を送った。

 小さな出版社のPR誌編集者兼ライターになり、競輪場を回りながら取材記事を書いていた。

 最相さんの夫が高校のとき、読書感想文が夏休みの宿題ででた。同級生5人が同じ本を読んで感想を書くことに決めた。本はバヂッダ著の「夜霧の隅で」。

 馬場君はプルーストの「失われた時をもとめて」に匹敵する文学的大作だと評した。村上君はトーマス・マンが影響を受けたという部分を引用した。津田君はアメリカ文学界に大衝撃を与えた世紀の大物新人が登場したと書いた。高橋君はイギリス医学界に痛烈な批判を投げかけた空前絶後の医療ミステリー大作と評した。そして最相さんの旦那さんは、ヘミングウェイを彷彿させる乾いた文章とたぐいまれなユーモアが評価できると書いた。

 先生が感心して、その本を貸してほしいと言う。

 彼らは困った。実はそんな本は無いのである。

 作者バヂッダは、馬場君のバ、ヂは当時村上君が痔を患っていたから。後は津田君のツ、高橋君のタからきている。
 なかなか楽しいエピソードである。

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| 古本読書日記 | 11:41 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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