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江國香織   「泣かない子供」(角川文庫)

 行列のできるラーメン店がある。

 こういうラーメン店は、追加の具とか、麺のゆでかげん、スープに油脂をうかべるかどうかとか、お客がいろいろと好みが言えるシステムになっている。気が小さくて今日こそ自分の好みをお願いしようと決めていくのだが、これが上手く言えた試しがない。

 まず店の外にズラーっと並ぶ。店に入れたからすぐに食べられるわけではない。みんなが食べているのを眺めながら、蟹の横歩きのように、徐々に移動してゆく。このとき、怒ったように注文を聞かれる。注文とりの人は、メモするのではなく、注文を聞いて暗記をする。

 注文を聞かれるさい、スムーズにたまごをのせて麺はかたと注文をさっと言わねばならない。少しでももたもたすると、注文とりの人が恐い顔をする。リズムに乗って注文が言えないと、注文を忘れる恐れがあるのだ。
 江國さんはこれができなくて今までラーメンとタンメンしか注文したことがない。

 江國さんは、言葉に敏感だ。違和感がある表現を聞くと「今のは何?」と咀嚼するのに時間がかかる。

 サッカー中継で
 「本田がいたんでいます」とか
 「そこはかと存在する」とか
 「何げに言う」や
 「明日はご自宅におりますでしょうか」
でも、ことばはいつも変化するもの。そんな中で、感動して自分も使いたくなる表現がある。

 バスのなかでの男子学生の会話
 「〇〇知ってる?」
 そして、新しいゲームソフトを細かに説明をはじめる。聞いていたもう一人の学生が説明者を制するように大声で言う。
 「超知らね。」
 心底、感動した言葉だ。江國さんはうれしくなって家に帰って試してみようと江國さんバスのなかでしばし興奮をする。

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| 古本読書日記 | 09:25 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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