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桐野夏生    「だから荒野」(文春文庫)

 主人公朋美は46歳。その誕生日に、家族みんなで新宿のレストランを予約して食事をすることを計画する。

 当日、自分の誕生日なのに、夫と息子2人に、朋美が車で運転してくれないと食事に行かないと言われ、何で自分の誕生日なのにそこまでしなければならないのか、これじゃ酒も飲めないと強烈に不満と怒りを覚えるが、キャンセルもできないと思い我慢をし、明美は運転をして家族でレストランにむかう。

 誕生日だからと少しはでめの服をきたり、化粧も念入りにしたのだが、夫や息子たちから「妖怪」とか「京劇俳優」と好き放題言われる。少しでも反発すると「きもい、死ね」と怒鳴られる。レストランでは「不味い」「サイテー」とあたりかまわず言われ、普段から夫をはじめ家族から「馬鹿おばさん」扱いされているのも影響し、とうとうプッツン。食事の途中で勝手にレストランをでて、車に乗って、もうあの家には帰らないと決意し、走り出す。

 朋美は家出をすれば、夫を始め家族が混乱するのではと思ったのだが、夫からはメールで車を返せ、ゴルフバッグを返せ、そうすれば家に帰ってこなくてもかまわないというメールがきただけ。

 夫は次の休日、ゴルフコンペがあり、そこで朝、小野寺百合花という美女を車でピックアップする約束していた。つまり、朋美のことなどどうでもいい、自分の都合しか考えていないのだ。しかも、車に残されたポーチにはコンドームがたくさん入っていた。

 朋美のいなくなった家庭は、破壊され奈落の底に落ちるかと思いきや、たしかにその兆しはあるのだが、桐野さんはそこまでは描かない。

 朋美も、パーキングエリアで車の置き引きに遭い、絶望的状況に陥るのだが、亀田という軽自動車の運転の男に救われ、長崎まで行き、山岡という被爆伝道者の家に居つき、どん底まで落ちるところを食い止められる。

 絶望、どん底に堕ちて、そこをどう描くかを読者は期待するが、生ぬるい状況で物語が進み、最後は元のさやに納まる、何だか甘やかされた人々の物語だったなと少しがっかり。

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| 古本読書日記 | 09:40 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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