FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

江國香織    「すきまのおともだち」(集英社文庫)

 新聞記者の主人公のわたしが、取材で行った旅先で恋人に書いた手紙をだすために郵便局を探しているとき、突然すきまの世界に入り込んでしまう。

 そこには、何でもテキパキとこなす9歳の女の子と、車の運転ができるお皿がいた。

 その街には、年老いた風呂敷がいたり、靴屋の主人のねずみがいた。また主人公が2度目にすきまに落ち、女の子と旅をして行った寒村には、コックの豚や空き家に住んでいる兄弟がいた。

 それぞれが大人のような口ぶりをするが、精いっぱい純真な子供たちのように楽しく強く生きている。

 生まれて初めて出会って感動した本がある。本というのは、実に当たり前なことだが、何年たっても、登場人物が年をとったり中味は変わることがない。変わってゆくのは、読者のほうである。

 小学校のとき、高校生、大学生のとき、新婚のころ、子育てに懸命だったころ、子供が大きくなり学生になったころ、子供が結婚したころ、そして孫ができたころ。
 それぞれ時代に同じ本を開いてみる。その本こそまさに時をさかのぼる「すきま」である。

 本の中身は変わらないのに受ける印象はその都度異なる。そして、「すきま」とともに、あの時、この時を懐かしく想いだす。

 最初に出会った9歳の女の子は、ずっと9歳のままなのに、すべてが愛おしい。たしかに9歳の女の子は本と一緒に生涯連れ添ったたいせつなお友達だ。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


| 古本読書日記 | 09:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT