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江國香織    「とるにたらないものもの」(集英社文庫)

 普段はとるにたらないもの、もう使われなくなってわすれかけているもの、だけど欠かせないもの。そんな60点を集めて、江國さんがそれぞれのものにたいする思いを描いたエッセイ。

 ものは見て使ってさわって、そこから感じるものを表現することだけでは息づかない。それは、過去にそれを使って感動したり驚いたそんな記憶の奥底をつむぎだすことにより初めて輝き息をふきかえす。江国さんは、それぞれのとるにたらないものを記憶の底から呼び起こして、見事に生命力を与えている。

 ワープロの時代になって、あまり使わなくなったのが鉛筆。もちろん、授業の講義を書き留めたり、テストの回答に使ったりはする。鉛筆は、芯がすり減ったとき、どこで削ったらいいか判断が難しい。だから、今は殆どシャープペンシルに置き換わっている。

 それから、文房具でまったく見なくなったのが下敷き。今は学校の机は殆どスティールに変わった。だから、机の表面が下敷きがわりとなった。私が少年だったころは、机も腰掛も木製だった。表面は木でありでこぼこしていた。

 そのまま紙に鉛筆で字を書くと、紙がやぶけたり穴があいたりした。字の一部薄くなって見えないことが発生する。またノートに書くと、次のページに字が筆圧でくっきりと写る。

 それを避けるために、みんなが下敷きを使った。

 下敷きはセルロイド製が多かったが、中には鉄製の下敷きを持っている子がいた。
 これが羨ましかった。文字を書くとき実に軽やかな弾む音がした。

  テストのとき「始め!」の号令のもと、一斉に「コツ、コツ」と鉛筆と下敷きが触れる音だけが響いた教室がなつかしい。

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| 古本読書日記 | 09:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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