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江國香織      「がらくた」(新潮文庫)

 この作品は、自分が住んでいる世界や経験をとおしてだけで、理解したり見てはいけないということを言っている作品だと思う。たぶん、平凡な経験からの世界からみると理解不能で駄作との判断がなされると思う。

 テレビ局のプロデューサーをしている人は、浮気をするとか、家庭の外に恋人をいつももっているのは当たり前のこと。そうなっていない人がいたら、そんな人は希少価値な人である。

 それが当たり前なこととして、結婚している妻は、嫉妬とか恨みの感情は抱かない。では、どうして夫婦関係が成り立つのか。それは、夫は家庭にいるときは、これほど愛している女性はいないと思わせるほど妻に尽くすのである。これが徹底できないと、妻は夫への不満と猜疑心が生まれてその先は離婚ということになる。

 それにしても、この作品には我々が暮らしている普通の風景は全くでてこない。居酒屋、ファーストフード店、ファミレスは無縁である。

 食事は高級フランス料理、高級中華、すし屋、イタリアン、高級バー。それ以外は登場人物が行くべき場所ではない。ミミという15歳の中学生がでてくるが、ミミも湯行く場所は大人と同じ。バーにも行く。

 主人公の柊子が夫には決して恨みは感じて来なかったのに、夫としばしば外で出会っているミミには強い嫉妬を感じる。それとなくそのことを母に言う。そのときの母の言った言葉が印象的。

 柊子が言う。
 「嫉妬?だってまだこどもじゃないの。ばかばかしい。」

 母が言う。
 「だからこそでしょ。子供と大人の中間で、あんたが失ったものと手にいれたものと両方持っていて、いましかないっていう種類の生命力があるから。」

 最後にはプロデューサーの夫とミミがホテルで抱き合う。

 私は、年をとっているので、冷静にこの作品は読めるが、馬鹿らしいとぶんなげる人もいるだろうなと思う。

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| 古本読書日記 | 08:47 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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