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シーラ・コーラー 「パーフェクト・プレイス」(新潮文庫)

 主人公が健康を害し、スイスを皮切りに療養のため放浪しているとき、見知らぬ男に声をかけられ、そこから彼女が犯した昔の殺人にたどりつくという一見推理小説のような話。

 しかし、文が徹底的に虚無で、けだるく、救いようがなく、それがかなりしつこい。
 作者シーラ・コーラーは南アフリカで生まれ育ち、その後ヨーロッパに渡り、そこからアメリカへ至った。文章はアメリカというよりヨーロッパ的である。

 この作品では、物語のキーになるのは「白」だ。白い肌、白いドレス、白い門、白い砂、白い手首。イタリアの島で、行きずりのドイツ人に抱かれたのも、白い歯が素晴らしかったからだ。

 しかしその白も、南アフリカで毎晩、白い肌にコルセットをはめ、母が街に春を売りにでていく。そのときのこびりついた白は恨み嫌悪の白だ。

 南アフリカは白でなくては人間として認められない国だった。それは、ヨーロッパでもアメリカでも、白でなければ陰に陽に差別をされる。

 この小説では、そんな主人公の、白に対する憧れと愛着、一方白に対するこれ以上ない憎悪が深く搖動する。そして、それが殺人にもつながる。

 久しぶりに心の動き満載の暗喩小説に疲れが頭の中いっぱいにしみわたった。

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| 古本読書日記 | 16:50 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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