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津原泰水監修   「エロティシズム12幻想」(講談社文庫)

 我孫子武丸、有栖川有栖など12人の作家のエロティカル小説集。

 一般の書評にはのせてはいけないとは思うが、作家の持つ言葉の凄みに圧倒されたので、書評として紹介する。それは、京極夏彦の「鬼交」。

 主人公の女性は、殆ど微睡のなか、全裸でベッドに横たわっている。そして、見つめる先には、笹百合が一輪ささっている。花瓶の、その内側を想像すると、ぬらぬらと濡れそぼっている。太い茎が、そこに埋まっている水をどくどくと吸い上げている。

 窓が開いているのか、カーテンが大きく揺れて、主人公の体と花瓶の口をさらってゆく。気が付くと、それは風のせいではなく、カーテンの向こうに誰かがいて、カーテンを振り回しているのだ。こんな、情景描写があって、慄然とする文章が書かれる。

 「先端から増幅されたパルスが信じられない早さで脳幹に到達する。動けと念じても、動かなかったのに、動かされると今度は瞬時にして意識を攪乱する。かくらんする。かくらん。体中の先端から神経束を圧迫しながら意識の塊が逆流してくる。充血。充満。ぐいと。力が。蠕動。押し広げて。緊張。膨張。隆起。変形。血管が。右足の親指。左足の小指。やわらかい。くにゃりとして。滑らかな。潤って。痙攣。収縮。収縮。収縮。」

 読み終わると、本当に疲れ切ってしまった。京極は表現の鬼である。

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| 古本読書日記 | 15:39 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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