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津原奏水    「読み解かれるD」(新潮文庫)

「爛漫たる爛漫」シリーズの完結編。この作品の前にもう一冊本がある。

津原だからミステリー小説に分類するべき作品かもしれないが、それほどびっくりするようなトリックがあったり、事件が頻繁におこるわけでもないので、やっぱし音楽小説であり、鋭夫とくれないの恋愛青春小説だと感じる。

 津原は少女小説から出発している。鋭夫とくれないが、普通の友達から、殺された利夫に変わってバンド爛漫を引っ張る利夫の弟鋭夫への想いの変化。右耳が難聴であり、低音が聞こえなくなり、爛漫を解散かやめねばならなくなる過程での、くれないの想いが、だんだん鋭夫への愛に変わってゆくすがたが印象的である。最後のとどめも少女小説の雰囲気が満々でよく書かれている。

 一作目「爛漫たる爛漫」で利夫を殺した犯人がほんとうにこの人なのと疑問が残ったが、やはり最後のこの作品で別の犯人が登場した。

 また、くれないの父、くれないは名ギタリストの岩倉理だと信じているが、それは違っていてくれないのおじさんでアメリカの盲目の名ギター演奏者であるブラインダッド イワクラだと作品ではほのめかされている。

 難聴や盲目であるがゆえに、とぎすまされた感性を持つ演奏家。とくにブラインダッド イワクラに魅入られてゆく岩倉理の姿の描写は素晴らしく、ブラインダッドの演奏場面が目の前に展開されてくる。

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| 古本読書日記 | 16:15 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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