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矢月秀作     「もぐら戒」(中公文庫)

 新しい技術、産業が世界的に求められている。こんな時には、技術開発競争が企業、個人を巻き込んで戦争になる。そして、どの企業、個人に投資したら莫大な利益を稼ぎ出せるか、金満投資家が鵜の目鷹の目で必死に投資先を探している。

 現代で言えば、地球温暖化防止などの環境ビジネスがまさにそうした産業ビジネスである。

 こういうビジネスでは、動きが遅い大企業にいては、自分の能力は発揮できないと感じている人たちの多くが、外へ飛び出てベンチャー企業を立ち上げようとする。

 企業をたちあげるには、それなりの資金がいる。ここに目をつけるのが、投資家たち。この投資家が、悪意に満ちていたり、裏組織と繋がっていることが多い。

 投資家はベンチャー企業に資金と弁理士を伴って近付く。お金がのどから手がでるように欲しいから、開発者はその話にのる。弁理士は、開発者の新技術を開発者に先駆けて特許を別名義で申請し取得する。そして、この特許を転売して利益をあげる。

 ベンチャー企業が新技術を使った新製品を開発して売り出そうとすると、その技術特許は別の名義人が取得しており、逆にそこに特許料を支払わねばならなくなる。そうなると、企業はたちゆかなくなり、企業自体を特許を有している企業に転売して、裏世界仲介企業は更に金を儲ける。

 この作品を読むと、環境ビジネス分野では、こんなブラックビジネスが、国境を越えて毎日のように行われているのではと感じさせる。

 作品では環境ビジネス裏世界で、殺人や拉致が行われる。もぐらと言われている主人公竜司や配下のテツの活躍で、事件を操っている黒幕は誰かが明らかにされ、最後は東京を大混乱に陥れながら、黒幕組織との対決がなされる。

 黒幕は、寸でのところで逃げ切り、また次の戦いに臨むところで物語は終了する。

 黒組織が竜司の恋人とおぼしき沙由美に72時間を経過すれば自動的に爆発するという爆弾を取り付ける。ここから、爆弾爆発を阻止するところまでが、物語のクライマックスになるはずなのだが、この間がいかにも間延びして、全く72時間が効いていず、興奮も緊張感もわかなかったのが残念である。

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| 古本読書日記 | 16:50 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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