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辻原登    「翔べ麒麟」(上)(角川文庫)

 作品の書評は下巻の書評でする。

 百人一首にもある阿倍仲麻呂の有名な句
 「天の原 ふりさけみれば春日なる 三笠の山にいでし月かも」
遣唐使の使命を終え、日本に帰国するとき、王維などとの送別会の時、日本語で詠んだ句とされる。

 しかし、この時仲麻呂の乗った帰国船は漂流し、仲麻呂は遭難して死んだことになっていたが、実は死んでおらず、今のヴェトナムに漂着。そのまままた中国の都長安に戻る。再度帰国を図ろうとしたが、唐朝はこれを認めなかった。

 仲麻呂は唐に残り、唐朝の官吏として出世し、外国人にはあるまじき、秘書監まで上り詰める。彼は唐では中国名で朝衛と名乗る。

 この物語は、遣唐使の一員であった仲麻呂が、唐の玄宗皇帝に信頼され、官僚組織をかけあがり、とうとう唐朝の生死を決定するまでに上り詰めたと想像を膨らまし、彼の唐朝での血みどろの暗躍、活躍を描く。

 一方、玄宗皇帝は、だんだん政治への意欲をなくし、仲麻呂が秘書監につくころは、楊貴妃に惑わされ、楊貴妃と色事を行うだけの状態であった。玄宗は楊貴妃に振り回され、楊一族を徴用するようになった。その中に、楊貴妃の又従妹である楊国忠がいた。楊国忠は、やくざで賭博師だったが、口が上手で玄宗皇帝に取り入り、最後は宰相にまでのしあがり、唐の政治をすべて取り仕切った。政敵はすべて殺し、私利私欲で固まったひどい悪政を行った。

 この楊国忠と闘うのが仲麻呂という構図で物語は進む。

 遣唐使の実態や、唐史が面白く学べて貴重な小説である。

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