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大槻ケンチ゛   「新興宗教オモイデ教」(角川文庫)

 三島由紀夫や村上春樹は、我々一般人が暮らしている世界とは違う世界で暮らす。そして時々一般人の世界をみて、奇妙な変わった世界だと彼らは思う。彼らの世界は一般からみたら全く別世界だから、彼らは自分の住む世界をそのまま書けばいい。それが、私たちには想像できない世界なのだから。

 大槻の場合はどうなのだろうか。

 ゾンというバンドで共演している男を描写する。

 ゾンは火のついた芋虫、永遠に脱皮できぬ地獄苦を見せつける一匹の芋虫となって、ステージ上をのたうち、叫び、時には自分のシャツをひきちぎり、全裸になって、総立ちの客席に向かって飛び込んでゆくのだ。客を殴り、そして殴られ、鮮血で顔面の半分を真っ赤に染めながらも、ゾンは美しかった。・・・

 ボクはゾンを仲間やと、考えとったけど、そんなレヴェルやない。もっと尊いお方や。そう思うと鼻の奥がツンとなり、涙が溢れてくるのだった。

 これで、ステージ演奏が終わると何もなかったように寡黙でおとなしいゾンになる。

 大槻は、こちらの世界にいて、ゾンを奇異にみているのだろうか。もっとふっきれて、ゾンの住む世界に飛び込み、その世界から私たちの世界に向かって、エッセイも音楽も発信しているのか。ゾンのパフォーマンスは大槻の住む世界では普通なことなのか、この物語ではよくわからなかった。でも、俺は違うぜ、狂ってみせるぜという意気込みは伝わってきた。

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| 古本読書日記 | 16:39 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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