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誉田哲也    「歌舞伎町セブン」(中公文庫)

 新宿歌舞伎町の鬼玉神社で、一丁目町内会長高山が死体で発見される。高山はその直前まで「歌舞伎町リヴァイヴ」という再開発委員会に出席していた。警察、監察医の検死の結果突発性心不全による死亡と断定された。高山は61歳。それまで特に心臓が悪いということもなかった。

 その5年前にも小川という区長が、突発性心不全で亡くなっている。この2つの死因が状況から考えるに、自然死とは思われず、誰かに殺されたのではという不審がある。しかし、外傷が何もなく、心臓を止める殺害方法などあるのだろうか。

 その方法が最後に三田静江の殺害で明らかにされる。

 目を塞ぎ、鼻を塞ぎ、少し上を向かせる。息が苦しくなったのか、それとも単に怖かったのか、ふわりと、静江の口が開く。
 その瞬間を逃さず、針先を喉の奥に送り込む。舌の根の辺りからは上向き、脊椎と頭蓋骨の間に生ずるわずかな隙間を狙って、直接脳幹に突き刺す。すぐさま先端で、半径二ミリの円を描く。

 脳幹は、生命維持を担う中枢神経系器官の集合体だ。口から刺し込んだ針先で脳幹を確実に破壊し、相手を即死に至らしめる。

 静江の瞳から命の光が消え、ゆるく瞼が下りてくる。
 力の抜けた体を片腕で支えながら、ゆっくり、真っすぐ針を引き抜く。先端が鋭く、かつなめらかなので、真っすぐ引き抜きさえすれば傷口は殆ど残らない。

 ものすごく高度な技術が必要だろうが、こんな殺しの方法が可能なのだろうか。

 新聞の死亡記事で「心不全」と書かれていたら、すこし疑ったほうがいいのだろうか。

 この作品は、殺害方法に現実感があるかに成否がかかっている作品。惜しむらくは、殺害方法をそのまま描くのではなく、名刑事か探偵が、推理してあててみせて欲しかった。

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| 古本読書日記 | 15:49 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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