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誉田哲也    「黒い羽」(光文社文庫)

 誉田の初期の作品ということだ。まだ、小説家としての力量が未完成状態での作品に思える。
右肩にある黒い疵を持つ主人公の典子。どんな治療をしても、全く治らない。主治医の野本の勧めにより、遺伝子治療を試みようと、北軽井沢にある研究施設に向かう。

 実は、疵は、典子ばかりでなく、姉にも父にもあり、そのことが悲劇の原点になった。

 この研究施設に体中疵だらけで、背中が盛り上がり全身真っ黒な患者の永田がいた。その姿はゴキブリそのもの。その永田が言う。

 ゴキブリは全く姿が変化せず、3億年生存している。それに対しホモサピエンスの誕生は2百万年前、人間に至っては2万年前。この地球上で一番強く生存能力のあるのはゴキブリ。
 だから、人間もだんだん進化してゆくと、ゴキブリに近くなってゆく。

 そして、我々が黒い疵があるのは、病気ではなく、人間が進化した形態になってきた結果だと。人間だって、最初に登場したときは、まわりから比べて異常な形にみえ、迫害されたのではないか。今、自分たちもそんな状況にいる。

 何かおかしいとは思うが、変な説得力がある。

 私たちも時を経ながら、ゴキブリのような形に変化してゆくのか。

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| 古本読書日記 | 15:38 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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