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誉田哲也     「春を嫌いになった理由」(光文社文庫)

 テレビ番組で最近はあまり見られないが、以前、霊能者、透視能力者が(たいてい海外からやってきたが)出演して、失踪者を探し当てたり、犯人らしき人を絞り込むという番組がよくあった。

 この作品も、そんな番組を扱っている。だいたい、こういう類の番組は、事前に調査をしておき、失踪者の遺留品(本物ではないのだが)をどこかの山の中においておき、透視者がそこにとんでもないひきつける磁力があるようなことを言って、その遺留品を発見したという筋を辿る。

 つまり、番組放送前に、すべて筋書き、脚本ができており、それに従って番組が進められる。

 そんな裏側ができていることを、この作品でも描きだしている。

 この作品の面白いところは、ポルトガルからやってきたという霊能力者のエステラと、エステラが通訳として何人かの候補者から選んだ主人公の瑞希が、実は本当に透視能力があるというところ。しかも、瑞希はその透視能力により、小学校時代、うそつきを言われはぶせにされたトラウマがあり、霊能、透視能力というものを極端に嫌っていて、そんな人がこの世に存在するということを全く信じていないこと。

 エステラは瑞希に折に触れていう。
「目に映っているものは、あるがままに受け入れなさい。」と。エステラは瑞希が霊能力者であることを知っていたのだ。

 そして、新宿でエステラが透視で発見した白骨死体事件を解決したのは、この番組中、刑事の腰巾着と思われた影の薄い男の活躍によるものだった。その腰巾着は実はすでに死んでいた人だった。しかし霊能者の瑞希にはその姿が見えていた。

 この作品を読んでから街を歩くと、街で見かける人が、あのひとは生きている人か、それとも幽霊なのかと変なことを思うようになってしまった。

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| 古本読書日記 | 16:47 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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