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北杜夫    「ぼくのおじさん」(新潮文庫)

 40年前、当時の上司から呼ばれて「クレーム処理で、悪いけどヨーロッパに出張してくれ。」と言われた。何をとんでもないこと。海外など行ったこともないし、言葉もできない。飛行機も国内で過去一回だけ乗った経験しかない。

 それで、クレームを起こした技術者に電話したら、何回も海外に行ったことがある。何と当時は日本から行くことが困難だった東欧チェコにも行ったことがあるという。え、何だ、海外慣れているじゃん。じゃあついていけばいいだけか。海外など一生かかってもいけないかもしれないと助平根性を起こし、ヨーロッパ出張を了解した。

 当時会社では、海外に出張する人はわずか。何しろ「海外出張を命ず」という辞令がでるし、送別会まで開いてくれた。

 技術者の人は、威張って、海外に行く心得を延々と出張前に語ってくれた。飛行機に乗って、ビールや食事がお金がいらないことを知って本当にびっくりした。驚くたびに技術者から「馬鹿。恥さらし。」と叱られた。

 フランス入国の際、イミグレーションで捕まった。イミグレーションカードを書いていなかった。ここで係官にどなられ技術者はびびりあがった。私はそばにおいてあった入国カードを記入して、さっさと入国。技術者も私のまねをして審査に向かったが、当人がビビってしまっていたことと、最初の行動が不信に思われ、別室に連れていかれた。40分もかかって、青ざめやせほそった感じで別室よりでてくる。

 あれほど、海外など自分の庭のように威張っていたのに、それからは、ホテルのチェックイン、食事。私にズボンを掴み、どこにも行かないでと金魚のふんのごとくずっとついてくる。

 スウェーデンのイミグレーションでは、私が呼ばれても、一緒にくっついてくる。係官に離れろと注意され、しぶしぶ次の番のところまで下がる。私が通って、技術者が何か係官に聞かれている。

 技術者は何を聞かれても、大きな声で私を指さし「SAME,SAME」と叫んでいた。

 この作品のおじさんのハワイ旅行を読んで、私の初めての海外出張を思い出した。

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| 古本読書日記 | 13:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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