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柳美里     「男」(新潮文庫)

 男の体のどの部位に官能を感じるか、部位ごとに掌編を作り集めた作品。

 主人公の体を通り過ぎた数々の男たちがいる。その、ひとり、ひとりを思い出して、かれらの体のどの部位が印象的に強く残ったかを官能をこめて描いている。

 耳が面白いと思った。

 耳というのは印象が薄い。この人はおかしな耳の形をしていると思うのだが、それを思った瞬間、即その形を忘れる。次に会ったときにあれだけ印象に残ったはずなのに、耳だけみても、それはあの人と当てることができない。

 耳は、愛の交歓では、噛まれたり、なめられたりされるのだが、小説などの官能シーンに殆ど登場することはない。全く影が薄い存在である。

 しかし、交わっている姿態を眼で実際を見るのと、隣部屋で行われている交歓シーンを薄い壁一枚をへだてて耳に聞こえてくる状態と、どちらが興奮を覚えるか。たぶん耳で聞こえてくる方のように思う。

 耳は繊細で、尖った神経をもっており、決してあなどれない器官なのである。

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