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折原一     「遭難者」(文春文庫)

 犯罪をするなら山でやる。どこかの尾根から突き落とす。こうしておけば、死体がみつかっても、殴ったり刺したりした証拠はなく、まず100%事故死として処理される。警察はいったん事故死として処理すれば、これを覆すことはまず余ほどのことが無い限りしない。死体現場に足を運ぶにしたって、山のなかでは、現場にたどりつくことだって大変な作業だ。

 北アルプスに大崎商事という松本にある会社の山岳倶楽部、岳友会の一行が登山をする。その途中で、若手総務部社員笹村雪彦が滑落死する。

 その後、笹村の母親と妹が遺品を整理していると、写真の額裏に雪彦が、結婚まで約束していた恋人を横取りされてしまったという慟哭のメモを発見する。このメモをよりどころにして、母親の真相追及が始まる。母親は岳友会の雪彦追悼登山を企画に参加する。そして、息子の恋愛について追及しようとする。ところが、驚くことにこの母親も中谷という女性とともに、雪彦が滑落したほぼ同じ場所で滑落死する。

 岳友会は、雪彦の在りし日を偲んで、追悼本を作り関係者に配布する。追悼登山に参加した大学時代の学友の南が、本を読んで、雪彦の事故死には不可解なところがあることに気付く。雪彦の会社が、事故死として処理しようとしている節があると思い、それを雪彦の妹千春に伝え、2人の追跡が始まる。

 そして、雪彦がわずかな金額だが、会社のお金を着服していたことをつきとめる。更に、同じ手口で、上司である課長が5000万円会社の金を着服していたことを突き止め、それをめぐって雪彦と課長の葛藤があったことを知る。それで邪魔になった雪彦を課長が登山で突き落とそうとする。そのことをつきとめた母親も突き落とす。

 この物語は、リアリティをだすため、追悼集に収められている、登山計画書、登山アルバム、葬式での弔辞、遺稿、追悼記、思い出をそのままに羅列する形で出来上がっている。
 なかなかチャレンジングな試みである。

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| 古本読書日記 | 16:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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