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加納朋子     「スペース」(創元推理文庫)

 駒子シリーズの3作目。

 双子姉妹の妹まどかは家をでて、静岡県の短大に進む。登校初日に遅く起きてしまい、あわててアパートをでて、バスに乗る。バスの運転手が変わっていて、短大のバス停の場所がわからないからまどかに教えてと頼む。

 まどかは他に3人が入居しているアパートに住む。最初はみんなで交代で食事当番をすることになっていたのだが、まどか以外は料理ができず、結局まどかが他の3人からお金をもらい食事をつくることになる。

 まどかのアパートと背中合わせに、オンボロ男性社員寮があった。料理をしているとき、換気で窓を開けると、向かいの男性寮の部屋から声が聞こえる。社員が電話をしていて、挫けそうになっている後輩を年中はげましている。

 5月にまどか達は学年全員で東北に研修旅行にでかける。まどかは一人である資料館を見学して、バスへ戻ると、バスはまどかを残して出発してしまっていた。当時は携帯もなく、まどかは宿泊旅館名も覚えていなくて、途方にくれる。

 そこに、団体を連れてきた観光バスがやってくる。まどかは弱って運転手に事情を話す。
運転手は25分間この地にいることになっている。早くバスに乗れとまどかをせきたてる。

 バスは高速で走り、とある食堂の前でまどかを下す。運転手は何かを食堂のおばさんに話し立ち去る。まどかは食堂の電話を借りて、宿泊する花巻の旅館をかたっぱしから電話をして探し出す。先生が迎えに来てくれる間食堂の手伝いをする。

 そして、驚くことに、運転手はまどかのアパートの向かいに住んでいた青年と知る。
彼は静岡でバス運転手をしていたが、会社になじめず、郷里に帰りそこで運転手になっていたのだ。

 運転手は、資料館で置き去りにされていたのがまどかだとわかっていたから、まどかを必死に救ったのだ。そして、2人はつきあいを始めて、結婚に至った。

 この物語のおしまい近くに書いてある加納さんの文章が印象的。
「無数の物語がギリギリのところですれちがったり、ときには交錯したりしている。それは誰の身にもきっと起きる。もちろん私自身にだって。大切なのはそれに気付くかどうかということ。」

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