FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

加納朋子     「ななつのこ」(創元推理文庫)

 鮎川哲也賞を受賞した加納さんのデビュー作。

 「ななつのこ」という本の表紙に惹かれた主人公の駒子が、周辺でちょっとした不思議な出来事が起こるとファンレターという形にして「ななつのこ」の作者佐伯綾乃に出来事の経過を報告、それを佐伯が見事に推理して、その原因をひもとくという形式で進む、短編連作作品集。

 駒子は不思議に思う。幼稚園のときのアルバムのなかの一枚が知らない間に抜け落ちてしまっている。いつだれが抜き取ってしまったのかと不思議に思っているとき、突然一美という女性から抜き取られた写真が送られてきた。

 一美は小学校5年のとき、転校してきて一年後にまた九州へ転校していった。特に駒子と仲良かったわけでもないし、印象も薄い子だった。あれから10年近く過ぎているのになぜ突然写真が返送されてきたのか。

 そう言えば高校のとき一美のことが話題になった。何と彼女は16歳で結婚し、子供までもうけたとのこと。びっくりした。

 一美は印象の薄い子だったけど、ものすごく不器用な子だった印象がある。運針はくねくね曲がるし、特に印象が強かったのは、当時はマッチの火をかざしてガスコンロを着火させるのだが、これが決してできなかった。

 そんなことを書いて綾乃に手紙をだす。

 綾乃の推理が手紙でかえってくる。

 写真をよくみてみなさい。うっすらと駒子の後ろに一美が写っているでしょう。一美が火をつけられないのは、一美の家が火事になったから。だから火が怖いから。火災保険で新しい家を建てることはできるが、家族の歴史である写真が全部燃えてしまった。唯一一美が写っていて残っている写真は駒子が持っている写真。だから、抜き取って持ち帰ってしまった。

 では、それを何故今返したのか。一美に新たな子供ができ、愛する子供の写真があふれるほどたまった。それで、駒子の写真は不要になった。

 こんな結構不思議でほっこりする短編が収められている。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 15:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT