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ミシェル・スラング選   「スロウ・ハンド」(角川文庫)

 ミシェル・スラングが選ぶ世界の女性作家によるポルノ グラフィー短編小説集。

 「かわき」が良かった。

 主人公の娘は、大きな熱帯地方の国にある、島に暮らしている。娘は、母親が国を支配していた白人と本土で関係を持ち妊娠して、白人に捨てられ、島に帰ってきて娘を産んだ。そして、母親はまた娘を捨て本土に消えていった。娘は白人の血が入っているということで、島の村全体から呪われていた。

 そんな時、白人が乗っていた戦闘機が島に墜落する。飛行士は、意識不明の重体となる。

 そして、娘の家に運ばれる。娘が介抱するように命ぜられる。娘はおかゆを飲ませたりして懸命の介抱をする。

 仰向けにして、男の着物を全部脱がせて、スポンジで体の隅々まで洗い拭いてあげる。謎めいた熱帯地方の揺らぐ灯りの下で、慈しむように男根をふきあげる場面は、熱帯の独特な背景描写の効果とともに、異様な雰囲気を醸し出す。

 しかも、物語全体に、明日にも、白人部隊が島にやってきて、戦争の血に彩られた島に変わってしまうだろうという恐怖が漂い、徐々にそれが高まっていきエロティックな効果を増幅させている。

 コンラッドが描いた、熱帯地方の道徳を堕落させ、意志をむしばみ、謎めいた熱気と無気力に満ちた独特の雰囲気が満ち溢れた作品となっている。

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| 古本読書日記 | 16:23 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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