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吉田紀子     「ハナミズキ」(幻冬舎文庫)

 高校時代には、多くの人たちが純粋で熱い恋愛をする。この作品のように、高校を卒業すると、互いが遠く離れてしまうということも結構よくある。

 北海道の地元の水産高校をでて、漁師を継いだ康平。進学校を卒業して、東京へでて早稲田大学に入学した紗枝。超遠距離恋愛だから、電話と手紙で互いを繋ぎ合う。しかし、北海道の田舎の暮らしと東京大都会でのキャンパス ライフが二人の知らない間に溝を作る。

 康平が、クリスマスに久しぶりに紗枝に会い東京にでてくる。康平は来る前に電話、手紙のやりとりで十分すぎるくらい再会に気持ちは盛り上がっている。しかも、イブに康平は紗枝の下宿に泊まることになっている。

 康平は、腹いっぱい食べてもらおうとクーラーボックスに蟹、昆布、ホタテ貝をいっぱいつめて東京にやってくる。待ち合わせまで時間がたくさんあったから、康平は早稲田大学に行ってみる。あか抜けた自由奔放の若い学生が、華やかにベンチにたたずむ康平の前を通り抜ける。完全に気おくれする。そんな時、紗枝が男子学生と一緒にいるところを目撃する。

 康平の心にしこりができる。その後、紗枝に予約したレストランに連れていかれるが、素直な気持ちがおこらない。わだかまりが爆発して、店をとびでる。そしてチンピラと立ち回りを演じ、持ってきた蟹や昆布は路上に投げ出される。

 紗枝の下宿で、それでも紗枝に治療をしてもらいながら、お互い大好きだと確認し合って翌日、北海道へ康平は帰る。

 その次は、紗枝は英語を生かした仕事をしたくて、日本を飛び出てニューヨークへ向かう。
ここで、2人の別れは決定する。

 康平は、地元の漁協の事務員リツ子と、妥協結婚をする。紗枝は康平が早稲田にやってきたとき見た学生とニューヨークで偶然再会して、彼にせがまれ付き合いを始める。

 ここから、色んな偶然が重なって、2人は再会することになる。
 そして2人は、高校時代の初恋の情熱とともに最後は結ばれようとしているところで終わる。

 しかし、これは物語だから出来上がる世界である。多くのひとにとっては、純粋で熱い恋愛は、記憶の中に強く刻まれ、年を経ても、時々うずくように懐かしくこみあげてくるだけのものである。

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| 古本読書日記 | 17:02 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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