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市橋達也   「逮捕されるまで」(幻冬舎文庫)

2007年3月26日、NOVAで働いていた英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさんが全裸で扼殺される事件が起きる。犯人は個人レッスンとして契約していた市橋達也。警察は彼のアパートを取り巻き身柄確保をしようとしたが、その包囲網をかいくぐって市橋は逃亡する。その逃亡から逮捕に至るまでの2年7か月間のを市橋が綴ったのがこの作品。

 市橋は両親は医師で、当然両親からは医師になることを求められていた。そんなに難易度の高い大学の医学部に行かなくても、裕福な家庭なのだから、どこかの医学部にはいることは難しいことではなかった。それが、何と4浪をして千葉大の医学部ではなく園芸学部に入学。卒業しても就職はせず、親から15万円の仕送りをしてもらい生活をしていた。

 この事件を起こしたときは、さすがに両親は市橋を見放し、仕送りを止めた直後だった。

さて、作品である逃亡記なのだが、本当に不思議な作品だった。とにかく、逃亡をしている今しか書かれていない。

 殺人についての記述は全くない。それに至った経過、動機が全く書かれていない。しかも、殺したリンゼイさんへの謝罪、悔恨も殆どない。唯一、図書館で「ゴンドラの歌」の歌詞を読んで思い出す部分だけ。

 市橋は多くの野宿をしている。そんなとき、人を殺した後悔などが沸き上がり抑えられない気持ちに陥ることはなかったのだろうか。大概、こういう殺人者は、自分の免罪符として、育ってきた環境や友人関係などがひどかったからと回顧するものである。

 関心のすべては、警察に捕まらないこと。それで、異常に顔を変えようとする。自分で鼻に針を通したりする。飯場で働き、100万円くらい稼ぎだすのだが、殆どすべてを整形病院で顔を変えることだけに使ってしまう。その整形外科医院からの通報で捕まることになるのだから。

 この本は、事件への一般の関心が強く、ベストセラーになり、幻冬舎は儲かった。儲ければ何をしてもいいのだと考えた幻冬舎は神戸連続児童殺傷事件の犯人、酒鬼薔薇聖斗のエッセイ「絶歌」を出版し世間の大顰蹙をかった。

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| 古本読書日記 | 15:59 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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