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有栖川有栖選    「小説乃湯」(角川文庫)

 滝沢馬琴から始まり、谷崎、太宰を含め、お風呂、湯船、サウナが登場する作品を収録。
既読の作品が半分。どの作品も素晴らしいが、私が大好きな作家、長野まゆみさんの「恋も嵐も春のうち」が一番よかった。

 東京郊外にある宿屋「左近」は、今は逢引の客が主なる客の宿。看板もだしていないので、予約のあった客は、宿屋の番頭が駅まで宿名のはいった提灯を持って迎えに行く。

 その日、テレビにも出演している浜尾が来るとき、宿の息子、桜蔵しか家におらず、浜尾は桜蔵が迎えに行った。浜尾はいつも先にきて、情人は1時間遅れくらいでやってくる。

 桜蔵がむかえにでると、「宿の人かい」と声のかけてきた男がいた。桜蔵はそうですと言って、男を宿まで案内し、部屋へあげ風呂の支度ができていると告げる。

 男は一番風呂は肌が痛いから、桜蔵に入るよう言う。しかたなく桜蔵が湯船に向かう。足元に桜の花びらがひらひらと落ちる。湯船にも開いていた窓から、桜が舞い落ち、湯船を一面ピンクで覆う。このあたりの描写が本当に美しい。

 湯から上がり、桜蔵は男を湯に案内する。桜が降りしきる中、16歳の桜蔵を男が抱き寄せそっと接吻をする。

 男を案内して、帳場に戻ると、家の者が帰ってきている。そこに電話が鳴る。
「浜尾さんが駅についたのだけど、宿の場所がわからず迷ってしまっている」と。桜蔵は「迎えもできないのか。」と家人から叱られる。

 じゃあ、あの男は誰なのだと風呂と部屋にゆくが、男の影も形もなかった。

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| 古本読書日記 | 16:33 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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