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関口尚    「ソフトボーイ」(ポプラ文庫)

 高校野球も格差は広がっているのだろう。有名校になると、全国から優秀な選手を集め部員も100人以上。誰もが高いレベルの技術を持っている。一方、地方予選にでるために、人員集めをしている学校も多くある。それでも、集める生徒は、中学のとき野球はやっていたが高校では違う部に入っている。違う部から員数合わせのために借りてくる。それなりの経験や、運動神経が発達している生徒が加勢する。

 これがソフトボールとなると、簡単ではない。ソフトボールに高校生活のすべてをかけようなんて思っている生徒は殆ど皆無。だから集まってくる生徒は、仕方なく、しぶしぶである。暗くて、落ちこぼれていて、無気力。生まれてこのかたボールなど握ったことがない生徒ばかり。

 では、何故、この作品では部員が集められたのか。もちろん言い出しっぺの野口の魅力もある。しかし、落ちこぼれて、根暗の人たちは、孤独がいやで、友達が欲しいと真剣に願っているから、部員の誘いに応えているのである。

 部員になった日から、声を掛け合い、一緒にいてくれる友達ができることがうれしいのだ。

 それから、発想力、表現力が豊かでみんなをその瞬間ひきつけることができる野口がいる。しかし野口は、少しだめになったり、うまくいかなくなるとすぐに投げ出す。

 こんな野口の性格がよくわかっていて、もうあいつはいやだと思っているが、知らないうちに野口についていってしまっている主人公の鬼塚がいる。

 鬼塚は料理に人生をかけようとしていた。フランスの三ツ星レストランシェフ、ジャンピエールが東京でワークショップを開催する。ピエールに手紙を書いたらそのワークショップに招待される。しかし、地方大会を不戦勝で勝ち上がったソフトボール部の全国大会第一回戦がワークショップの日と重なる。鬼塚は悩んだが、料理を選びソフトボール部をやめる。

 すると、途端にソフトボール部が瓦解する。

 組織は、野口のような派手な発想力を持つ人も重要だが、それを実現する具体的方法まで落とし込んで、周りの人をまとめあげていく参謀も必須であることをこの作品は教える。鬼塚は結局ピエールをあきらめ、野口をはじめソフトボール部の仲間を選択する。

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| 古本読書日記 | 16:31 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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