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堂場瞬一    「被匿」(中公文庫)

 選挙出馬には3つのものが必要といわれている。
 「地盤、看板、鞄」である。このうち最も肝要なものが鞄である。選挙には膨大な金がかかる。その費用のスポンサーがつくかつかないかで選挙に立候補できるかできないかが決まる。

 その昔、北海道で有名な代議士だった中川一郎の後継者を秘書の鈴木宗男と長男の中川昭一が争ったことがあった。鈴木宗男は一郎が自分を後継に指名してくれると信じていた。それを待つのだが、なかなか一郎が政界から去らない。そうこうしているうちに、昭一が社会人として風格もつけてくる年令になる。宗男はあせる。

 そんな時、一郎が札幌のホテルで怪死をとげる。北海道警は2日後にこの死を自殺と断定、発表する。

 この怪死が自殺だったのだろうか、その後ずっと疑問がふってわいた。地盤は最初昭一が継いだのだが、宗男は金を集めることに成功し、その金を武器に昭一から一郎の地盤をはぎ取っていった。

 この経過をみていると2つのことがわかる。

 まず、警察が自殺と結論付けると、それからどんな疑義がでようが、絶対自殺がくつがえらないということ。

 次に、色んな記者や民間ジャーナリストが怪死した当時のことを調べようとするが、宗男、一郎の関係者が頑として、口を割らない。それは割ることにより自分の生活が抹殺される可能性があったり、周囲の関係者を甚大に傷つけることになるから。多少の後悔があっても、口をひらくことは、御法度ということ。

 この物語は、その警察の誤った結論と選挙後継者をめぐる御法度の打ち破りに挑戦している。

 堂場がこの物語で書いている。
過去は決して死んではいない。ずっと生きている。そして過去はいつも喋りたくてうずうずしている。

 そういえば、一郎の息子昭一も心筋梗塞で、突然死している。

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| 古本読書日記 | 15:48 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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