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乃南アサ    「紫蘭の花嫁」(文春文庫)

 殺人というのは、必ず、恨みが極まって引き起こされるものと思っていた。だから、サスペンス小説でも、証拠を探したりトリックを解明しながら、必ず犯人の動機が何であったのかが解明される。

 ところが最近は、動機なき殺人事件というものが発生しだした。殺しをやってみたかった。対象は誰でもよかったと。

 この動機無き殺人の一つで最近クローズアップされているのに快楽殺人というのがある。女性を殺害して、全裸にする。その全裸遺体をみると異常に興奮する。その興奮が得たいがために次々女性を殺す。

 現代は、女性も男性も多忙を極めているし、厳しい競争社会のなかにあり、男女交際に充てる時間が殆ど無い。だけど、性欲は抑えられないときがある。それでセフレなどという得体がしれない人間関係ができあがる。

 その刹那的な相手を探す簡単な方法が、この小説が書かれた1990年ころは、Q2ダイヤルやテレクラ。今だと出会い系サイトである。

 相手の人間性、素性も知らずに行きずりで出会い、関係を結ぶ。そして後腐れなく別れる。
人となりもわからず、ひたすら欲望処理のために関係する。こういう中に、快楽殺人者が紛れ込むのである。

 この作品は現代のいびつな有り様を描いている。ただミステリー作品として読むと、真相を追い詰めるというところがなく物足りない。いびつな部分がたくさんの種類の蘭の花にこめられ、ゆらゆらうごめく現代を描いているのだと思うとそこそこ納得はできる。

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| 古本読書日記 | 16:20 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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