FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

ソール・ベロー   「この日をつかめ」(新潮文庫)

 トミー・ウィルヘルムは44歳で人生の崖っぷちに立たされている。

 本当かどうかはわからないが、当人が言うことによれば、彼はロジャックス社で、北米東部地区営業担当として輝かしい成績をおさめ、重役になることが確約されていた。ところがロジャックス社の社長が代わりその約束が反故にされ、それに怒りロジャックス社を去った。

 一方家庭には妻マーガレットと2人の息子がいた。しかしロジャックス社に勤めていたとき、オリーヴという女性を愛し、それがばれて家も追い出された。妻との約束で2人の息子の養育料を負担することになっている。

 ロジャックス社からもらって溜めたお金で、父親もいっしょにいるホテルで暮らしている。しかし、そのお金がもう底をついてきて、ホテルの支払いも滞っている。

 そんな状態の最後の一日を物語にしている。

 父親はかなりのお金を持っている。だから窮状を訴えお金を恵んでくれるようウィルヘルムは必死に訴えるが、どう訴えても、頑としてお金はやれないと冷たく父親は拒否する。

 タムキンという相場師に唆されて、なけなしの700ドルをラードとライ麦相場に託す。
 しかし、これもその日のうちに値下がりし、損をする。

 父親からは見放される。妻から息子たちの養育料の支払いを催促される。ホテルからも宿泊費の支払いを要求される。

 もうどうしようもなくなり、ニューヨークの街を放浪すると、葬儀の列に遭遇する。そのまま列について教会までゆく。そして柩の遺体をみる。その遺体は老人ではなく、何と自分と同じ年頃の男。顔もゆがんで、どことなく今の自分と同じ人間のように感じる。それで遺体をみながら大声をあげ号泣する。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


| 古本読書日記 | 16:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT