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澤地久枝  「石川節子」(講談社文庫)

 「つねに啄木の歌よりは現実の世界の方がはるかに過酷である」と著者澤地は書く。14歳で、石川啄木と結婚を約束する恋仲になった堀合節子。啄木の才能を信じ、啄木にひたすら付き従った節子。

 それにしても啄木の生き方は理解できない。父親の一禎が寺の住職を解任され、一家の収入が絶たれたとき、自分がきちんと生活を支えねばとなるはずだが一向にそうはならない。とにかく、この作品、年がら年中友達への金の無心、質いれ、大晦日に50銭しかなく年をこえねばならない状況。貧窮につぐ貧窮の連続。

 啄木、いろんな人から心配され、代用教員になったり、北海道の2つの新聞社に就職したりするのだが、勤め始めてすぐに無断欠勤をはじめ、自ら辞めるか首になるのである。節子や長女を養うことを思うならば、詩作や小説を書く時間もあるのだから、どうして勤めあげ、家族生活を安定させようと考えないのだろうと不思議に思う。

 東京に啄木だけでて、節子、京子、啄木の母カツと別暮らしになる。啄木は、東京朝日新聞に職を得て、金銭的には安定的な生活にはいった。当然、函館に送金せねばならないのだが、殆ど送金はしない。余った金は遊郭の女にすべてつぎ込む。だから、変わらず啄木も函館の残った家族もピーピーの生活になってしまう。

 澤地の節子よりの一方的啄木評に影響されながら読み進むので、ひどい奴だ啄木は、どうにかせんかいと怒りが膨らむばかり。

 啄木が26歳で亡くなり、後を追うようにその一年後に節子が亡くなる。夫婦はたった7年間で終了する。
 たった7年間だが、あふれほどに、どん底生活の苦しいことばかりが続く。

 啄木は死後評価され歴史に残る作家になった。それは、啄木の日記や啄木への節子からの手紙、啄木の原稿を、啄木が「捨てろ」と命令したが、隠し持って、啄木死後整理して発表した節子の貢献があって実現したことだとこの作品を読んで思った。

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| 古本読書日記 | 16:22 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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