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畑野智美    「海の見える街」(講談社文庫)

 「相手を殺したくなるような激しい感情を持つことが恋愛だと思っていた。欲と欲をぶつけ合い、他の女と話すな、他の男に触るなと騒ぎ、携帯電話でほんの数分でも連絡が取れなくなったら、何をしていたかを問い詰め、お互いを束縛しあう。毎日のように刺されるくらいの覚悟を持ってけんかして、暴力の延長のようなセックスをする。それが愛されている証拠だと思っていた。」
 この作品の春香の真剣な想いだ。

 恋愛が息苦しくなってきた。それと同時に、恋愛が人生の中心からだんだん外れてしまう時代になった。
 仕事が大切な時代になった。仕事によってできあがる人間関係が大切になった。いつでも会話できつきあえる友達が大切になった。
 恋愛は、こんな大切なものを邪魔する存在になった。上手くいくことが少ないわりに、かける情熱、割く時間がとんでもなく無駄に思えるようになった。そして、そんな恋愛が、綿々と築いてきたもっと重要な人間関係や力をいれて頑張っている仕事を破壊してしまう存在にもなった。

 セックスをしたくなったら、セフレを持てばいい。何も恋愛まですることは無い。

 最近は携帯で途切れることなくつながっていないと不安になる関係が多くなっているが、つながっていることが目的で中味は薄い。心のなかで、それ以上は私に踏み込まないでくれとセフティネットをはる。

 恋愛小説はたくさん出版されているが、それが受け入れられるのは難しい時代である。
そんな中で、この作品は頑張って正面から恋愛小説にチャレンジしている。

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| 古本読書日記 | 16:19 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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