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柴崎友香    「ビリジアン」(河出文庫)

 近々、小学校の同級会に行く。故郷から遠いので、行ったことはなかったのだが、低学年の時の担任の先生が91歳。電話で死ぬ前に一回会いたいと言われるので、でかけることにした。

 しかし流石に小学校での出来事は殆ど浮かんでこない。きっと先生や、同級生からあんなことがあった、こんなことがあったと聞かされ、それに触発され思い出すのだろうと思う。

 この作品、主人公は柴崎さんだと思われるが、山田といって作家で多分年齢は40歳くらい。その作家の山田が10歳から19歳までの間の、ふっと時々浮かんでくる記憶、思い出をアットランダムに並べた作品。

 確かに、中年になっても、殆どの高校生までの記憶は忘れ去るものなのだが、こびりついた記憶もあって、ふとしたときに忽然とよみがえってくる。まわりから見ればどうってことない出来事だし、自分でもそう思っているのだが、その記憶が胸の奥底をチクリと刺激するような部分がある。

 持久走は1500m。小さいグラウンドを6周、7周と回る。どんどん、離され、追い抜かれ、まだ一周半あるのに、走っているのは山田(柴崎)だけ。ふっと横をふりむくと、渡り廊下を渡っているマーサが手をふっている。このマーサがずっと記憶に染みつきチクリと痛い。

 入道雲がどんどん盛り上がってゆく。山田はその先端に乗っている気持ちになり、一緒にどんどん上がってゆく。雲の上は、青空の天井がある。その天上に頭がぶつかりそうになる。思わず、身をかがめる。

 電車の吊り下げ広告に「経済破綻、日本崩壊」「大地震で世界壊滅」と書いてある。破綻、崩壊、地震、壊滅の文字がひび割れている。

 こんなようなことの一部を今度の同級会で思い出すのかなと思う。

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| 古本読書日記 | 16:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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