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香納諒一    「噛む犬」(徳間文庫)

 新宿副都心のビルの植え込みから変死体が発見される。死体は、警視庁捜査二課の警部補刑事の溝畑悠衣。溝畑はノンキャリアの刑事。捜査刑事の世界で女性がいることは極めてめずらしい。しかも警部補、部長刑事の上位の階層である。余程、人一倍苦労して刑事の仕事で類まれな成果をあげてきた刑事である。

 一方新宿署でKSP捜査一課を率いているリーダーはキャリアで現在刑事の身であるこれも女性の村井貴里子。この地位も女性刑事としては、かなり辛い存在である。率いるメンバーは、出世とは縁のないノンキャリアの刑事だけ。彼らは上司が女性というだけで、女性が捜査で何ができるかと信頼を寄せない。更にキャリアだから、いずれどこかに異動して出世の階段を上る人とみている。

 一方、貴里子を上にすわるキャリアたちは、捜査現場はノンキャリアたちが行うことで全く興味をしめさない。上手い人脈をつかまえて保身、出世の階段を上ることしか関心がない。そのために、捜査をゆがめたり、上部権力を支えるために、捜査に手心を加えることばかりする。

 こんな男の論理だけで動く組織で、女性であって、真剣に捜査現場で頑張ろうとする貴里子は上に下に敵ばかり。

 実は、溝畑が死んだのも、男社会ではじかれる中、キャリア幹部と大企業の暴力団を使った不正癒着に切りかかり、そのために起きたことだ。貴里子も危ない場面ばかりだったが、沖という部下の刑事に支えられ危機を乗り越え事件を解決する。

 とにかく警察の中で、女性が活躍するということはとんでもなく大変だということがわかる作品だった。

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| 古本読書日記 | 21:04 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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