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梶尾真治   「つばき、時跳び」(平凡社ライブラリー)

 シンプルなタイムトラベル恋愛の話。椿が咲き誇る「百椿庵」には、150年前に遡ったり、150年前の人が現代に来れたりする、場があった。そこに、一人で住んでいる作家のところに突然150年前、その「百椿庵」に住んでいた武家の娘つばきが現れる。

 つばきは、この物語の叙述によると、「マイフェアレディ」のヒロイン、オードリー ヘップバーンに似て清楚であるが、凛々しい女性だ。当然、江戸末期から現代へ跳ぶから現代をみてふれて驚きの連続となる。テレビ、パソコン、電話、炊飯器、ガスコンロ、風
呂場のシャワー、電気。それから、2人で外出する。広い舗装道路。車。ビルディング。

 主人公の作家は、つばきの純真な驚きの表情、清らかな心に触れ、恋心が強くなる。一方つばきも作家に恋慕を抱く。しかし、文箱に入っている金属棒が気化して無くなると、つばきは江戸末期に還らねばならない。

 一方作家もあるとき、つばきの住んでいる時代に跳ばされる。そこで、2人の熱い時を過ごす。しかし、やがて作家も還らねばならない時がやってくる。 この別離の切なさ、はかなさを鮮やかに梶尾は描きだしている。物語は平凡だが、ひとつ、ひとつの情景がていねいな描写で、読者には印象的な物語になっている。

 梶尾の面白いところ。

 舞台になっている熊本には「びっくり団子」という名物菓子がある。江戸時代に跳んでいったときに主人公、つばきと行った茶店で、この団子にであう。当然名物だったから、「びっくり団子」だと声をあげる。ところがつばきも茶店の人も怪訝な顔をする。そしておもしろい名だということになり、この団子を「びっくり団子」になることが決まる。

 主人公の作家が江戸末期「びっくり団子」という名をつけ、今では名物になっている。結構洒落た作り話だ。

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| 古本読書日記 | 17:47 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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