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有川浩    「ヒア・カムズ・ザ・サン」(新潮文庫)

 主人公の真也は、特殊な能力を持っている。他人の記憶、過去の行為が見えるのである。

 これは先祖代々遺伝として引き継がれている。お祖母さんから言われている。これを自分の都合によく使ってはいけないと。そういう使い方をするととんでもないしっぺ返しを食らうと。

 真也には同じ出版社に勤めるカオルという恋人がいる。付き合いも深くなり結婚を互いに意識する段階に至っている。ところがここで問題が生じる。カオルの父親の存在だ。

 ここで有川さんは全く異なった父親を登場させた2つの物語をこの作品で載せている。

 一人目の父親は売れっ子脚本家で、しょっちゅう締め切りの迫った脚本をいくつも抱えていて、その執筆で忙しく全く家庭を顧みないというか顧みれないという脚本家。

 カオルの出産にはつきあったが、名付けはしない、妻とカオルの退院にはつきあわない。何しろ、出産にはつきあうと、それで仕事は溜まる。何で退院などに付き合わねばならないのだという考えの持ち主。そんな父親に成り代わって父親代わりをしたのが友達の榊。
 父親は、自分の脚本を採用してくれなかったテレビ局と喧嘩して、アメリカに渡る。その際、妻から離婚をつきつけられる。こんな父親だから、当然アメリカに迷いなく渡る。一緒に榊も渡米する。

 変わらず妻子を無視する父親に代わり、榊が父親になりすまし、カオルにプレゼントを贈ったり手紙を書く。この父親が交通事故死する。ところが榊の父親なりすましは継続する。そして、父親が20年ぶりに帰国するということになり榊が父親になりすまし、帰国する。
 この嘘が真也には見える。ここからが大変になる。

 もう一人の父親は自意識と能力がかい離している売れない脚本家。あのドラマもこのドラマも自分が作っているか、アイデアをだし採用されていると言いふらす。幼いカオルはそれを信じクラスで言ったり、作文に書く。すごいと皆に賞賛されるが、それが嘘
だとばれると、嘘つきと皆から蔑まれとんでもない辛い学校生活を強いられることになる。

 そのことを父親に問いただしても、絶対父親は嘘をついてないと言い張る。

 そして父親はアメリカに渡る。当然能力は無いから、アメリカで脚本家の道には進めない。それで皿洗いなどをしてやっとこさ生活を支える。しかし、日本の家族には、売れて売れて大変と手紙を送る。カオルは思う。何でアメリカまで渡りこんな嘘ばかりつくの。
 そして20年後。うらぶれて帰国する。

 その父親の過去が真也にはすべてみえる。それでも父親は、売れっ子脚本家だと嘘を言はる。そして同じように真也は大変となる。

 後半の父親に何となく私はシンパシーを感じた。

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