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三崎亜記    「玉磨き」(幻冬舎文庫)

読んでいる間中、奇妙な落ち着かない感覚にとらわれた。空想ルポを物語にしている。

面白かったのは「古川世代」という短編。

誰が何の目的で始めたのかわからないが、実は日本を引っ張てきて、これからもリードしてゆくのは、古川という姓を持っている人々だということがネットを中心に広まった。
それに火に油を注いだのが週刊誌の特集。それで、古川姓の人々は超優秀で裏で権力を握り、日本は古川姓の人々のおかげで成立していることが何の根拠もなくみんな社会の常識となった。

 ある大学で、本当に古川姓の人々は優秀で国を動かしているか実態を調査する。しかしそんなことは当然あり得ない。それを発表はしたが、関心を示す人は誰もいない。
 就職戦線でも古川狩りが熾烈を極めた。苗字が古川というだけで、高額な報酬が与えられたり、特別待遇が約束された。

 しかし、実際は古川姓の人が特別でないことは明白で、いつかそのことが白日の下にさらされる時がくる。古川姓の人が臓器移植をせねばならない難病に陥った。そこで古川姓の人を救わねばと募金が集められ、移植は成功しその人は助かった。そのことについて、ある小学生が新聞に投書する。

 「古川っていう人は優秀なのに、何で自分で手術代をだせないの。」

この一言が古川優秀の常識の潮目を変えた。

 更にこれに拍車をかけたのが「古川姓詐欺事件。」。優秀なのにお金がない古川姓の人々に、事業資金を投資して、高利回りの運用を実現しようと資金を集める。それが大型詐欺になり、4000人400億円がだましとられた。

 こうなると、手のひらを返したように古川姓の人々に猛烈な社会バッシングが行なわれる。古川姓の人々は社会からはじき出され、まともな暮らしを営むことができなくなる。

 今でも都市伝説が突然蔓延し、瞬間で萎むことがよくある。この話、今の社会の有り様をよく表していて、本当に起こるのではと思いぞっとした。

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| 古本読書日記 | 19:11 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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