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桂望実    「我慢ならない女」(光文社文庫)

 役者バカという人がいる。どんなに極貧になっても、役者をやめようとしない。役者をやめるくらいなら死を選ぶという人である。

 この作品は作家バカを扱っている。すべてを犠牲にしてひたすら小説を書くことだけに全身全霊を傾けている作家樺山ひろ江。役者でも作家でもこういう人たちは、とにかくふてぶてしい態度をとる。自分が一番能力があると確信している。だから、編集者が原稿をなおしたり、意見をすると、いつも編集者をけちょんけちょんにけなす。まわりがすべて馬鹿にみえるのである。

 売れているときには、編集者は入れ代わり立ち代わりやってくるが、少し陰りがでるとさっと水がひくように誰もやってこなくなる。

 この作品のひろ江がすごいところは、ベストセラーをだし大金が入ると、傲慢さにみがきがかかり、贅沢な生活になるが、また売れなくなると、贅沢な生活を忘れ、昔の貧乏生活にもどれるところ。これはなかなかできないことだ。


 貧乏生活をしていたころ、近くの中華料理店で皿洗いのバイトでしのいでいた。最後にアシスタントの明子とその中華料理店に行く。で明子が今日はチャーシュウメンにしようと言うが、ひろ江はあんな薄いチャーシュウが2枚余計にはいるだけで250円高くなるのはもったいないと普通のラーメンにする。

 絶対何があっても、作家として一生を貫いてみせるという固い信念をラーメンに感じる。

 導入部の明子が叔母さんのひろ江をひろ江が望んでいないのに、ひろ江のアシスタントになるところがあまり納得感がないのは残念だが、それ以降は桂の表現力が読者を引きつける。

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| 古本読書日記 | 18:32 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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