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今野敏    「残照」(ハルキ文庫)

 医者の息子というのは、概して文武両道の優等生が多い。そして、将来は父親の後を継いで医者になる路線が敷かれている。もちろん多くの医者の子が、何らその路線に疑問を持つことなく育ち医者になるのだろう。

 しかし、優秀な子の中には、医者以外の道に進むことの可能性があるのに、それを断念することに悩む子もいる。

 この物語に登場する風間もそんな子だ。ずっと有名進学校をトップクラスの成績で通過してきた。高校を卒業した時、父が敷いた路線をそのまま行くのは、色んな可能性をとざすことに、まだ青春真っ盛り故、非常に切なく思う。

 そこで親にスカイラインGTを買ってもらい、勉強の時と同じ集中力を持って、ドライブテクニックを習得し乗り回し、お台場にたむろする社会から落ちこぼれた若者たちの憧れとなった。

 彼は、東京警視庁の白バイ、パトカーに追跡されても、すべて逃げ切った。彼に優るドライバーは存在しなかった。それで、暴走に暴走、青春を狂い走り抜けた。

 そして20歳を迎えるころ、お台場の交通機動隊隊長の速水に、筑波山の頂上へむかう道で追いかけられた。つつ゛らおりの道を100キロ以上のスピードでノーブレーキで走る。死闘、命を懸ける戦い。ここで初めて風間は速水に抜かれる。

 その瞬間風間は青春は終わったと感じる。そして、スカイラインを捨て、医者を目指して勉強を始める。自分が医者になることを納得させるために風間にとっては必要な2年間だったのだ。

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| 古本読書日記 | 18:30 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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