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有川浩    「シアター!」(メディアワークス文庫)

 役者根性が染みついて、生活不能になっても役者だけは続けたいという役者依存症の人たちが集まって小劇団を創り活動する。ちょっと調べてみたら東京だけでも50以上ある。

 びっくりするのだけど、小劇団の役者には殆どギャラがないそうだ。舞台や稽古場の確保。パンフレット、チケットの作成。小道具、大道具の購入。舞台設営。舞台監督の監督料。
 これらの費用をチケット収入で賄おうとするが、とても無理でいつも持ち出し。だから特別に他の劇団から客演できた俳優には出演料は払うが、自分の劇団員のギャラは無し。

 それどころか劇団員は、チケット販売のノルマがあり、それを達成できないと自腹をきる。
何と自らがお金を払って、劇を演じているのである。彼らの収入は、細々としたアルバイトで稼ぐお金だけ。

 こんな典型的小劇団「シアターブラック」を主宰している役者バカの巧が、運営が毎度のように窮地に追い込まれ兄司のところに300万円の無心にくる。

 司は2年後に300万円返済できなかったら、劇団をたためという条件でお金を弟に用立てる。用立てただけでなく、お金の面から、劇団に関わり、徹底的に劇団の運営方法を変える。面白いと思ったのは、弟も含め、劇団員が、司の新しい運営に興味を持ち、反発することなく、素直に受け入れてゆくところ。

 稽古場の専用場所は借り賃が高すぎる。そこで、区のホールや公民館を借りる。その場所が毎日変わる。こういった公共施設は、連続して借りられない。そして、毎日変わるのは、劇団員が住民となっている地区の公共施設は、劇団員名で借用するととんでもなく借り賃が安いからだ。今やっている劇、一日目を撮影し即DVDに焼き付けそれを3日後以降の公演では物販販売する。プログラムには広告を載せ、広告料でプログラムの作成料を賄う。

 ありとあらゆる、収支を見直しプロセスを改革してゆく。そこのリアリティさと劇団がどんどん変わってゆく姿の描写が実に生き生きとしている。

 この物語のモデルになった小劇団の座長が言う。彼らと有川さんが出会って、物語が完成するまでたった3か月。有川さんはそれまで舞台、小劇団の事情は全く未知。

 「これだと思う物にであった時にそれを掴む能力と瞬発力の強さには驚愕する。」

 有川さんの素晴らしいところを見事にいい当てている。

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| 古本読書日記 | 16:37 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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