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ギルバート・アデア   「閉じた本」(創元推理文庫)

 主人公のポールは英国の最高の文学賞、ブッカー賞も受賞したことのある大作家。このポール、旅先のスリランカで交通事故に会い、完全に失明してしまう。4年間の隠遁生活を経て、再起をしようと口述筆記者を「ザ タイムス」で募集する。そこに応募してきたのがジョンという男。

 完全に失明している作家のための口述筆記者というのは、単に作家が喋ることを筆記するだけではだめ。作家の視る世界を、作家に代わり見て表現できなければならない。作家は風景や事物を、口述筆記者の眼を通して視るわけだ。

 面接試験で、見える風景をポールはジョンに語らせ、その回答に満足、ジョンは自分の眼になりうる人間と確信し、筆記者に雇う。

 ポールは、自分の物語に挿入するため、ジョンに幾つかの場所に行かせ、挿入する事物を見てきてもらい、ジョンの視て描いた表現を物語に挿入しようとする。
 ところが、ある日ロンドンに行って買ってきてもらったジグゾーパズルが指定していたものと異なっていることを家政婦の話から知る。
 このあたりから、ポールはジョンの視た事物の表現が、実際と異なっているのではと感じるようになる。ここからがミステリータッチが深まり面白くなる。

 あれこれおかしいと気が付くポール。そして、何のためにジョンが嘘をつくのか、不安がだんだん増幅してくる。

 面白いのは、この物語が、90%以上ジョンとポールの会話だけで構成されている。だから全く心象や説明が無い。読者はポールやジョンがどんな男で今何を思っているのかを会話の中から想像しなければならない。そこがミステリーの味わいを深めている。

 ただ、最後の真相が、会話体がミステリーの味わいを深めていったのに比し、平凡だったのが残念。もう少し、想像できない結末にしてほしかった。

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| 古本読書日記 | 20:13 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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