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佐川光晴    「おれたちの約束」(集英社文庫)

 「おれたちのおばさん」から始まった陽介の成長物語を描く「おれたち」シリーズの3作目。

 札幌の児童養護施設をでて仙台の有名進学校東北平成学園に入学し、学園寮に入寮してからが物語となる。

 この物語のテーマは陽介と父との係りが大きなテーマになっている。陽介の父は銀行の副支店長だったが、そのころ愛人を持ち、その愛人との生活を維持するために、銀行のお金を横領し、銀行から告発され、逮捕、懲役2年の実刑判決を受けて福岡刑務所に収監されていた。そして陽介高校1年のとき仮釈放され、出所した。このことを、陽介は父からでなく弁護士からの手紙で知る。ここから、父に対し嫌悪感が増してくる。

 父は母親にも会うことなく、弁護士の紹介で、群馬県高崎の特養老人ホームで働きだす。

 陽介は仙台で東北大震災に巻き込まれる。母親はもちろん、恋人と思っている波子や、北海道の児童施設の時の恵子おばさんや仲間から、メールや電話をもらうが、父からは何の音信もない。

 わだかまりだけが膨らむなか、同級生の中本に背中を押され、中本の手配で、高崎の特養ホームの父に会いに行くことになる。
 そこで、偶然父をみつけ、そこで、今までの怒りが抑えなくなり、父を面罵して、そのまま仙台に帰ってくる。

 大震災のあった3月11日に、平成学園では学園祭の最中だった。それが途中で全部中止されたが、陽介が学園祭実行委員長になり再開催をする。そこに、波子ちゃんや母を招待する。友達の中本が、陽介の了解も得て、陽介の父親にも招待状を送る。
 そして学園祭当日、波子ちゃんや母に遅れて父親が現れる。わだかまりが母にももちろん陽介にもあるから素直に喜ぶことはできない。

 その時、中本が大きな声で、「陽介のご両親がきています。」とみんなに告げる。まわりのたくさんの人たちから拍手がおきる。陽介はおもわず両親の手をとって高く掲げる。

 陽介はまたひとつ人生が前進した。早くこの先を読まねばと感じた。

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| 古本読書日記 | 16:32 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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