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JB.バーンスタイン  「ミリオンダラー・アーム」(集英社文庫)

 著者のバーンスタインはアメリカでスポーツエージェントをやって成功を収めた人物。
大リーグのスーパースターだったハリー・ボンズなどの代理人をしている。

 そのバーンスタインがインドには1億5千万人の若者がいるから、絶対に大リーグで活躍できる能力を持つやつがいるはずと考え、インドのテレビ局とタイアップして、ピッチャーのコンテストをあちこちで開催。最後にニューデリーで決勝大会をして優勝者には10万ドル、更にその後3回投げ時速145KM以上の速球を全部ストライクで投げられたら100万ドルを賞金としてだす、「ミリオンダラー・アーム」という番組をプロデュースする。そして、勝ち残った3名(結果は2名)をアメリカに連れてゆき、6か月特訓をしてメジャーリーグの新人発掘イベントに参加させ、どこかの球団との契約を実現、プロ選手として活躍させることを目論む。

 この作品で認識したことは、環境が人間の感情を決定することだということ。欲望だとか夢だとか恋愛ということは、外部から植えつけられる環境にその対象の人間がいないと創られないということである。

 アメリカに連れられてきたリンクという若者の住んでいる村は、電気がつい最近通った村。家の床は土。もちろんテレビなど見たことはない。大家族で10人以上が一部屋に寝る。
結婚相手は必ず両親が決める。恋愛がどういうものかも知らない。欲望とか夢を持つということがどういうことかわからない。

 バーンスタインの事務所兼家にリンクは同居する。宮殿のような家に一人で住むバーンスタイン。
毎晩のように美女をどこかでひっかけてきては酒池肉林の世界を楽しむ。車もフェラーリやアルファロメオが並ぶ。お金を消費してもありあまるアメリカでの大成功者の暮らし。彼はインドの若者にそれを見せつけ、「君たちも、こんなゴージャスな生活をしたくないか」
と聞く。

 「したくない。」と素っ気なく若者が答える。恋愛は?と聞いても、「わからない」
当然羨ましがられると思っていることが、相手には全く理解不能になっている。

 このギャップがすごい。欲望をどのようにして理解させ植え付けていくかがこの実話のもうひとつの物語である。

 ちなみに、インドから連れてきたリンクは、今では飛行機はファーストクラスしか乗らないそうである。

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| 古本読書日記 | 17:13 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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